日本におけるエコロジカルフットプリントの歴史

日本におけるエコロジカル・フットプリント分析の歴史は、当法人代表の和田喜彦が、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)留学中にウィリアム・リース教授とマティス・ワケナゲル博士とともにフットプリント分析の開発に関わり、帰国後、国内での研究、普及拡大や人材育成に関わったところから始まります。

さらに、グローバル・フットプリント・ネットワークの伊波克典研究員によって国内外の関係者の連携が強まりました。

行政、政府機関

1996年、環境省「平成8年版環境白書」で、初めてエコフットを紹介。

2000年、東京都「東京都環境白書」で、エコフットを用いて、都民の暮らしを支えるのに必要な面積を計算、東京都の面積の125倍が必要と示す。

2003年、国土交通省、日本の47都道府県のエコフットを算出。地方レベルで資源の有限性を理解するためにフットプリントを利用した初めての例。

2006年、環境省、エコフットを環境基本計画の指標のひとつとして採用。

2012年、東京都「緑施策の新展開:生物多様性の保全に向けた基本戦略」で、日本の活動が環境に与える圧力を示すものとしてエコフットを紹介。

2016年、環境省「生物多様性と生態系サービスの総合評価(JBO2)」で、生態系サービスと人間の福祉の分析にあたり、エコフットを使用。

京都市、グローバル・フットプリント・ネットワーク、いであ株式会社、WWFジャパンと協働して、京都市のエコフット調査を実施。

2018年、環境省「平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」で、京都市エコフットの分析結果を紹介。

2020年、環境省「令和2年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」に、エコフットを使って海外依存状況を紹介。

研究機関・NGO

2004年、書籍「エコロジカル・フット プリント: 地球環境持続のため の実践プランニングツール」発行。マティス・ワケナゲル、 ウィリアム・リース著、和田喜彦監訳・解題、池田真里訳、原 題 Our Ecological Footprint: Reducing Human Impact on the Earth, 合同出版、

2005年、 日本とアジアのEFに関する研究と応用を推進するために、 NPO法人エコロジカル・フット プリント・ジャパン 設立。

2007年、エコロジカル・フットプリン ト・ジャパンは日立環境財団の支援を受け、市民を対象として1人ひとりのフットプリントを計算する診断クイズを作成、公開。

2010年、WWFジャパンとグローバル・ フットプリント・ネットワーク が、「エコロジカル・フットプリ ント・レポート日本 2009」を 発表。生態系に対する需要が多い分野を特定、取り組むべき政策を提言。

2012年、WWFジャパンとグローバル・ フットプリント・ネットワーク 「日本のエコロジカル・フットプリント2012」発表し、日本のデータを更新。福島第一原子力発電所の事故がバイオキャパシティに与えた影響も分析。

2012年、旭硝子財団 ブ ループラネット賞を Mathis Wackernagel博士とBill Rees 教授が受賞。

2015年、WWFジャパンとグローバル・ フットプリント・ネットワーク 「地球1個分の暮らしの指標」を発表。日本のエコフットを削減する施策の提言。

2016年、  富士通株式会社、環境教育ツールを開発、作成。全国の小学校で「地球1個分の暮らし」教育プログラムを実施。

2019年、WWFジャパンとグローバル・ フットプリント・ネットワーク「環境と向き合うまちづくり」を地方自治体向けに作成、紹介。

総合地球学研究所 FEASTプロジェクト(Lifeworlds of Sustainable Food Consumption and Production-Agrifood Systems in Transition)の一環として、グローバル・フットプリント・ネットワークは47都道府県のエコフットをトップダウン式フットプリント手法にて算出。エコフットを人口統計学的またはその他の社会経済的指標別に分類も含む。

2021年、総合地球環境学研究所は、東京大学、グローバル・フットプリント・ネットワーク、WWF ジャパンと協働で、「あなたの都道府県の暮らしは地球何個分?」研究結果を発表。

ビジネス

2012年、花王株式会社、自社の環境への影響をより深く理解するため、ライフサイクル開発研究所でエコフットを検討、結果を公表。

グローバル・フットプリント・ネットワーク、経団連自然保護基金、東南アジア諸国連合(ASEAN)と共同で、国別フットプリント・バイオキャパシティ、さらに多地域間産業連関分析(MRIO)の手法を用いて、東南アジア諸国の貿易関係と依存関係を分析。「Asian Biotechnology and Development Review」に掲載。

2016年、第一三共株式会社、エコフット指標を適用して環境管理の改善のため、経年でフットプリントの削減に取り組む。

2021年、三菱総合研究所(MRI)、50周年記念事業として50年後の2070年に向けた未来像をサポートするため、エコロジカル・フットプリント・シナリオ・モデルをグローバル・フットプリント・ネットワークとともに開発。2070年世界人口100億人時代に、人類が地球1個分の暮くらしができる方法を理解することは最重要課題。下図は、すべてのシナリオが達成された場合に、2070年までに地球1個分の暮らし実現可能であることを示す。