エコフットとは、人間の活動が地球環境にどれくらい負荷をかけているかを示す指標です。人間が消費する量(需要)と地球が生産する量(供給)を数値化し、比べることで持続可能性がわかります。

 ※エコフットとは、「生態系を踏みつけている足跡」という意味です。

                                               (出典:WWFジャパン,2015,「地球1個分の暮らしの指標」)

■何をどのように測り、比べるのか

人間が消費し、廃棄する需要量をエコロジカル・フットプリントといいます。地球が生産し、吸収する供給能力はバイオキャパシティ(生物生産力)です。両者を比較し、地球の供給能力を人間の需要量が超過した状態をオーバーシュート(需要超過)といいます。

エコロジカル・フットプリント

私たちが、ある期間(通常1年)に消費する資源を生産したり、排出する二酸化炭素を吸収したりするのに必要な土地や水域の面積で表します。

生活に必要な土地や水域を以下の6つの利用タイプに分け、実質面積を測ります。

  • 耕作地(食物、繊維物、油料、ゴムなどの生産に使用される土地)、
  • 牧草地(食肉、乳製品、皮革、羊毛などの家畜を養うために使用される土地)、
  • 森林(木材、薪、パルプなどの生産に使用される土地)、
  • 漁場(水産物の生産に使用される海洋と淡水)、
  • 二酸化炭素吸収地(二酸化炭素を吸収する森林の面積)、
  • 生産阻害地(建物、道路、ダムなどに使用される土地)

次に、土地や水域の生産性は、国や利用タイプで異なるので、比較できるように調整します。同じ耕作地でも国によって生ずる生産性の違いは収量係数で、また、耕作地と牧草地など利用タイプによる生産性の違いは等価係数で換算し、独自の単位(gha;グローバル・ヘクタール)で表します。

それぞれを合計したものがエコロジカル・フットプリントで、世界、国、1人当たり、で測ることができます。

バイオキャパシティ

地球が、ある期間(通常1年)に自然資源を再生産し、廃棄物(とくに二酸化炭素)を吸収する能力を、土地と水域の面積で表したものです。計算に算入するのは、耕作地、牧草地、森林、漁場、生産阻害地の5つの土地と水域の面積で、独自の単位(gha;グローバル・ヘクタール)で表します。

オーバーシュート(需要超過)

世界のエコロジカル・フットプリントと地球全体のバイオキャパシティを比べて、エコロジカル・フットプリントがどの程度超過しているのかを示したものです。オーバーシュートは持続可能ではない危険な状態です。

オーバーシュート=エコロジカル・フットプリント÷バイオキャパシティ

■なぜエコフットなのか

世界の重要な安全保障のひとつである地球環境の保全にとって、「持続可能な生産と消費」は緊急の課題です。この課題を解決するうえで、エコロジカル・フットプリントは世界でも稀有な包括的指標として有効です。

安全で安心な生活を維持するために必要な自然資源を適切に管理するためには、具体的な数値が役立ちます。指標は、私たちが今どこにいて、どれくらいのスピードで動いているのか、そしてどこに到達すべきなのかを示してくれます。

エコロジカル・フットプリントには、次の3つの特徴があります。

包括的:人間の需要が地球の供給を超えないようにする、という環境問題の根本的な視点がわかりやすく示されます。また、森林、土壌、海洋、大気への負荷を合わせて測る包括的な指標です。

貿易関係:自国での消費と生産、海外との輸入と輸出を合わせて測ることができます。これによって、自然資源の分配の状況、国際貿易で引き起こされる他国への影響を数値で知ることができます。

世界共通: 使用するデータは、FAOなど国連機関の統計データを使用します。計算の方法は、世界の研究者が集まって改善を進め、世界共通の計算方法を確立しています。

■エコフットではわからないこと

淡水の取水や化石燃料など再生不可能な資源の消費は計算に入れていません。また、原子力発電の放射能汚染地、使用済み燃料や温排水による損失などの負荷は含まれていません。さらに人間以外の野生生物が消費する自然資源についても含まれていません。