2022年12月9、10日、国際基督教大学社会科学研究所と上智大学グローバル・コンサーン研究所の共催で国際シンポジウム「サステナビリティ変革への加速」がハイブリッド形式で開催されました。2日目の12月10日には、EFJ会長の和田喜彦(同志社大学教授)が「ネイチャー・ポジティブをどう加速させるか:エコロジカル・フットプリントの潜在的可能性」と題して講演しました。
内容は、ネイチャー・ポジティブ経済移行をめざそうとする国際社会の潮流、エコロジカル・フットプリント分析の背後にある基本的な考え方、そしてエコロジカル・フットプリントの応用事例の紹介などでした。具体例として特に注目されたものは、個人エコロジカル・フットプリント診断クイズを大学生に受診していただいた事例と、マイボトル利用促進のための給水スポット設置事例の二つです。
事例1:EFJの個人エコロジカル・フットプリント診断クイズを同志社大生100名に、1回目は現状を申告、2回目は地球1個分の暮らしに近づける工夫をして受診してもらいました。計測結果とともに各自、学生たちが書いてくれたコメントはとても勇気づけられるものでした。中には、「自宅で野菜を栽培し始めた」、「テレビのコンセントを抜くようになった」など、行動を起こした学生が4%いました。具体的な環境行動を思い浮かべ、行動を起こす意思をイメージできた学生が56%いました。エコロジカル・フットプリント診断クイズは、約半数の学生の環境行動を誘発したことが示唆されました。
事例2:マイボトル・リフィル用の給水スポットの設置によって節約できるエコロジカル・フットプリントを計算しました。海洋プラスチック問題解決と温室効果ガス削減に貢献したいという学生の提案を受けて、2020年10月に、同志社大学にマイボトル・リフィル用給水スポットが設置されました。春学期と秋学期の合計30週間、同志社大学の学生、院生、教職員全員で、約3万人が、毎日ペットボトルの使用を控え、マイボトルを持参し、給水サービスを利用したら、1年間で少なくとも東京ドーム25個分のエコロジカル・フットプリントが削減でき、同じようなことを全国の大学で行えば、東京ドーム2,700個の削減が可能という結果が出ました。負荷削減効果をエコロジカル・フットプリントで「見える化」することで、給水スポット利用が促進されることが期待されます。
このシンポジウムでは、国内外の研究者や専門家たちから、世界が直面する平和、環境、感染症、食料安全保障などについて最新研究の報告などの発表がありました。地球規模の課題をいかに公平に解決していくか、質疑応答などをとおして参加者との意見交換がありました。
EFJは、多くの人々と意見交換しながら、具体的な行動につながるよう努めてまいります。
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ヘッダー写真( Unsplash Bluewater Sweden )