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日本のエコロジカル・フットプリントを削減する5つの方法

By 6月 8, 20227月 25th, 2023アースオーバーシュートデー

日本のエコロジカル・フットプリントを削減する5つの方法

これまでの日本のエコロジカル・フットプリント分析の結果から、日本の生活のなかでエコロジカル・フットプリントを大きくする要因が見えてきました。これらをもとに、日本のエコロジカル・フットプリントを下げるための行動をまとめました。

1. 省エネと再生可能エネルギーへの転換を進める。

日本のエコロジカル・フットプリントを土地別で比べると、二酸化炭素吸収に必要な土地が全体の74.3%を占め、最大である。次いで、耕作地9.8%、漁場7.2%、森林5.3%である。また、消費項目別でみると、住居および交通カテゴリーでは、二酸化炭素による負荷が大半を占めた。省エネと再生可能エネルギーを促進し、二酸化炭素の排出を抑えることが、最もエコロジカル・フットプリント削減につながる。

2. 都市集中ではなく分散型の居住と経済を推進する

自治体の規模別にみると、大都市ほどエコロジカル・フットプリントが大きい傾向がある。1人当たりエコロジカル・フットプリントは、大都市(人口100万人以上)では、小都市(人口5万人未満の町村)の約1.2倍である。人口が都市に集中するのではなく各地に分散して、経済と資源を循環させる街づくりが負荷の削減につながる。

3. 輸入製品の環境負荷を減らす。

日本の暮らしは、中国、米国、オーストラリアなど海外から輸入する自然資源に支えられおり、依存の割合は80%を超えている。そのため、海外から輸入する製品のエコロジカル・フットプリントを下げる工夫が必要である。

4. 食生活を見直し、加工食品の利用を抑え、季節の地元産の利用を増やす。

日本の家計消費エコロジカル・フットプリントの内訳は、食27%、住居・光熱27%、交通21%、その他のサービス・財25%である。食カテゴリーのうち、約50%は、魚・穀物・野菜などの加工食品である。一般的に、加工食品は、製造、加工、流通など生産地から食卓までの工程が多いため環境への負荷が高く、一方、季節ごとに地元で採れるものは製造や輸送にかかる負荷が少ない傾向にある。

5. 食料廃棄を減らす。

食カテゴリーを異なる分類方法で調べたところ、そのうち20%は食料廃棄によるものである。食料は、生産、加工、流通の各過程で環境への負荷が生じており、廃棄せずに利用することで、新たなエコロジカル・フットプリントを抑えることができる。

これまでの社会デザインを変える

エコロジカル・フットプリントの開発者であるマティス・ワケナゲル氏は強く主張しています。「パンデミック、異常気象、そして戦争の激化によってもたらされる大規模な食料不足の間で、都市や国、さらには企業にとって、経済の繁栄を支える資源の確保を育むことの重要性がこれまで以上に高まっています。」

実際、『生物多様性の経済学:ダスグプタレビュー』(2021年)に象徴されるように、主流派経済学の立場からも、地球の供給能力の範囲内で経済の繁栄を考える動きが高まっています。 このことこそが、アースオーバーシュートデーが伝え続けてきたメッセージです。

日本は、1990年代後半以降、エコロジカル・フットプリントのデータや応用事例を、行政、企業、研究機関、NGOレベルで最も積み重ねてきた国の1つです。最近では、三菱総合研究所が、50年後、日本で「地球1個分」の生活を実現するために、どのような取り組みが考えられるか、エコロジカル・フットプリント削減のシミュレーション分析を消費側と供給側の両面からおこない、報告書(P80-82)としてまとめています。

アースオーバーシュートデー公式ページで公開されている「可能性の力(Power of Possibility)」プラットフォームでは、①健全な生物圏、②エネルギー、③食料、④都市、⑤人口という5つの柱に分類された、オーバーシュートを緩和する多くの事例が紹介されています。例えば、世界で、スマートグリッドへの移行や電力システムの効率化がすすめば21日、世界の食品廃棄物を半分に減らせば13日、アースオーバーシュートデーを遅らせることができます。

エコロジカル・フットプリントジャパンからの提案

■行政の皆さまへ

自治体のエコロジカル・フットプリントを測る

地域によってエコロジカル・フットプリントの大きさや内訳は異なり、地域の特性や課題を知る機会となります。また、環境政策における二酸化炭素削減や食品ロスと、地域推進政策の地産地消などを合わせて取り組む機会となります。

■企業・団体の皆さまへ

自社のエコロジカル・フットプリントを測る

自社製品の生産、輸送、流通、消費など、サプライチェーンのどこに環境負荷が多く発生しているかがわかります。とくに海外から輸入する原材料の生産地の状況や輸送における負荷などの軽減策が見えてきます。

■研究者の皆さまへ

エコロジカル・フットプリントの研究成果を発表する

さまざまな課題を研究し、成果として発表することで、日常生活や事業活動での環境負荷削減策に貢献できます。

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