最新データで読む日本のエコロジカル・フットプリント
過去50年でエコフットは55%増加 、バイオキャパシティは42%減少
過去50年でエコフットは55%増加
1961~2018年の間に、日本の1人当たりエコロジカル・フットプリント(以下、エコフット)は約55%増加しました。人口は約34%の増加ですが、エコフットの総計は倍増しました。日本経済の成長期には増加を続け、1980年前半のオイルショックや2009年の金融危機の影響など減少する時期がありましたが、再び増加し、現在は横ばい状態にあります。日本の1人当たりエコフットは 4.61gha、世界平均エコフット2.77ghaに比べると 約70% 多い状態です。また、日本のエコフットを世界のバイオキャパシティと比べると、世界の人々が日本と同じ暮らしをしたときに必要な地球の個数が、2.9個分(=4.61÷1.58)であるとわかります。
バイオキャパシティは42%減少
一方、同期間に、日本の1人当たりバイオキャパシティ(生物生産力)は約41%減少しました。人口が34%増加したのに対して、総計は21%減少したためです。日本の1人当たりバイオキャパシティは0.59 gha、世界平均のバイオキャパシティ 1.58 gha と比べて、半分以下です。国内の限られた自然資源をさらに有効に利用する工夫も必要になっています。
【参考】
2018年 日本
- エコフット 総計: 586,108 (千gha) 1人当たり:4.61 (gha)
- バイオキャパシティ 総計: 75,315 (千gha) 1人当たり:0.59 (gha)
2018年 世界
- エコフット 総計:21,175,903 (千gha) 1人当たり:2.77 (gha)
- バイオキャパシティ 総計:12,077,144 (千gha) 1人当たり:1.58 (gha)
(出典:Open Data Platform, Global Footprint Network, 2022)
二酸化炭素吸収による負荷が76%を占める
日本のエコフットの土地別内訳をみると、二酸化炭素吸収に必要な土地は全体の約76%(=3.49÷4.61)を占めています。次いで、耕作地 約10%、漁場 約6 %、森林 約5%でした。日本のエコフットを削減するには、二酸化炭素の排出を抑えることが重要です。
海外の自然資源に87%依存
日本のバイオキャパシティをすべて国内の消費にのみ利用したとしたら、日本のエコフットの13%(=0.59÷4.61)を占めるにすぎません。残りの87%は、他国のバイオキャパシティで生産された食料や製品の輸入と、公海漁業などどの国にも属さない共通資本の利用によって成り立っています。海外の自然資源が維持されるかどうかは、日本の暮らしに大きく影響します。
エコフット最大は東京都、最小は山梨県
日本全体だけでなく、47都道府県別のエコフットを調査分析した結果(2014年のデータ)が報告されています。各都道府県の1人当たりエコフットをみると、最大は東京都 5.24gha、最小は山梨県 4.06ghaでした。それぞれの暮らしは地球何個分が必要なのか、世界の1 人当たりバイオキャパシティ 1.68 ghaと比べてみます。東京都3.1個分(=5.24÷1.68)、最も低かったのは、山梨県2.4 個分(=4.06÷1.68)でした。山梨県は、最も高かった東京都よりも29.1%(=(5.24-4.06)/4.06)小さく、都道府県別の暮らし方がエコフットにも影響しているとみられます。