日本のエコフット分析の歩み
― 日本で育まれてきたエコフットの研究と実践 ―
― 日本で育まれてきたエコフットの研究と実践 ―
エコロジカル・フットプリントは、私たちの暮らしや事業活動が、自然の再生力に対してどれだけの需要を生み出しているかを可視化する指標です。
日本では、政策、研究、企業、地域、教育など、さまざまな分野で活用されてきました。このページでは、その歩みをたどりながら、主な活用事例や関連資料を紹介します。
日本におけるエコフットの歩みを、「概念の導入と普及」「指標の深化と応用」「社会実装とネイチャーポジティブへの展開」という3つの時期に分けて紹介します。
この歩みは、当法人代表の和田喜彦が、エコフット分析の開発初期から研究に関わり、帰国後、国内での研究・普及・人材育成を進めたことから始まりました。
1996年には環境白書で初めてエコフットが紹介されました。2005年にはEFJが設立され、国内での普及と連携の基盤がつくられました。こうした流れは、2006年の環境基本計画における参考指標としての採用へとつながっていきます。
2009年にはWWFジャパンによって、日本初の包括的な日本版報告書が発表されました。2012年にはリース博士とワケナゲル博士がブループラネット賞を受賞し、第1期はひとつの節目を迎えました。
この時期には、京都市プロジェクトやFEASTプロジェクトを通じて、自治体や都道府県単位で暮らしのフットプリントを把握する試みが進みました。また、東南アジア諸国と日本の貿易関係や資源依存を対象に、サプライチェーンを考慮した国際的な分析も行われました。
さらに、第2期に先駆けた花王の事例や、第一三共グループによる企業活動へのエコフット適用、富士通による小学校向け環境教育、三菱総合研究所との未来シナリオ分析などを通じて、エコフットは企業、教育、将来構想にも活用されました。
2023年に閣議決定された「生物多様性国家戦略2023-2030」では、ネイチャーポジティブ経済の実現が重要な柱として掲げられ、事業活動や消費行動による負荷を定量的に把握する指標の一つとして、エコフットが位置づけられました。
こうした政策的な位置づけを背景に、2023年以降は富士通グループやアルプスアルパイン株式会社による分析・結果公開へと展開しています。エコフットは、企業活動と自然資本との関係を可視化する実務的な指標として広がりつつあります。
ここでは、EFJやグローバル・フットプリント・ネットワーク(GFN)が関わってきた取り組みを中心に、国内で行われた主なプロジェクト、政府の政策・報告書、ガイドや関連資料を新しい順に紹介します。
各カードの年号の横にある「研究」「政策」「企業」「地域」「普及」などの表記は、その取り組みが主にどの分野で展開されたものかを示しています。
掲載しているものは、日本における多様な取り組みの一部です。今後も新しい事例や資料を追加していきます。
EFJは、企業活動を自然循環との関係で捉えなおすため、概念理解から算定準備、結果活用までを整理した実務向けのガイドを公開しました。詳しく見る→
EFJは、エコロジカル・フットプリントの算定手法(NFBA)の考え方と計算の枠組みを日本語で整理したガイドを公開。PDFでダウンロード可能。研究者・大学院生向けの基礎資料です。詳しく見る→
アルプスアルパイン株式会社は、事業活動と自然資本の関係をより深く理解するため、エコロジカル・フットプリント算定を実施しました。サプライチェーンを含む事業活動が、どのような形で自然資本に依存しているのかを読み解く取組みです。詳しく見る→
富士通グループは、TNFD提言に基づく情報開示を進める中で、サプライチェーンを含む企業活動全体の自然への負の影響をエコフットで評価。主要な負荷要因の把握と、生物多様性への影響低減に活用しています。詳しく見る→
大阪市は、2024年にまとめた「大阪市地球温暖化対策実行計画」において、市民の暮らしに伴うエコロジカル・フットプリントを算定しました。世界中の人々が大阪市民と同じ生活をした場合、地球約2.8個分の自然資源が必要になることを示しています。詳しく見る→
環境省の自然関連財務情報開示(TNFD) ワークショップで、ライフサイクル全体を通した自然との関わりを評価・分析する指標として、エコフットが取り上げられました。TNFD実務支援とエコフット分析をつなぐ動きとして紹介されています。 詳しく見る→
エコフットは、同戦略の進捗を把握する関連指標のひとつとして位置づけられています。特に、基本戦略3(ネイチャーポジティブ経済)や、基本戦略4(1人1人の行動変容)と関係しています。詳しく見る→
英国財務省が公表した『生物多様性の経済学:ダスグプタ・レビュー』の日本語版をWWFジャパンが制作し、EFJ会長の和田喜彦先生が監修しました。報告書では、人間の自然への需要を地球の再生能力内に収める必要性を示す指標として、エコフットが用いられています。詳しく見る→
三菱総合研究所(MRI)、50周年記念事業として50年後の2070年に向けた未来像をサポートするため、エコフット・シナリオ・モデルをグローバル・フットプリント・ネットワークとともに開発。想定されるすべてのシナリオが達成された場合に、2070年までに地球1個分の暮らし実現可能であることを示す。詳しく見る→
総合地球学研究所 FEASTプロジェクトの一環として、総合地球環境学研究所は、Global Footprint Network、WWF ジャパン、東京大学と協力して47都道府県ごとの違いを解明。算定結果は「Journal of Cleaner Production」に掲載された。詳しく見る→
WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワークは、地方自治体向けの小冊子『環境と向き合うまちづくり』を作成・紹介しました。エコフットを通じて、地域の暮らしと地球環境とのつながりを考えるための普及資料です。詳しく見る→
京都市、グローバル・フットプリント・ネットワーク、いであ株式会社、WWFジャパンと協働して、京都市のエコフット調査を実施。分析結果は、環境省「平成30年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(2018)」でも紹介されました。詳しく見る→
富士通株式会社は、全国の小学校で本教材を活用した環境教育の出前事業を実施。詳しく見る→
第一三共株式会社は、エコロジカル・フットプリント指標を環境管理に活用し、事業活動に伴う環境負荷の把握と改善に取り組みました。経年でフットプリントを確認しながら、削減に向けた取組みを進めた企業事例です。詳しく見る→
WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワークは、エコフットを用いて、日本の暮らしと地球環境との関係をわかりやすく示す資料『地球1個分の暮らしの指標』を発表しました。エコフットの考え方をわかりやすくまとめた入門資料です。詳しく見る→
雑誌『BIOCITY』第56号が、WWFジャパンの全面協力により、エコロジカル・フットプリントを特集。消費生活、生物多様性、地球温暖化などの視点から、地球の持続可能性を考える12人の論考を掲載しました。詳しく見る→
グローバル・フットプリント・ネットワークは、経団連自然保護基金の支援を受け、エコロジカル・フットプリントと産業連関分析を用いて、東南アジア諸国と日本の貿易関係・資源依存を分析しました。研究成果は『Asian Biotechnology and Development Review』に掲載されました。関連資料を見る→
花王株式会社は、グローバル・フットプリント・ネットワークの支援のもと、原材料調達から廃棄までの国内事業活動を対象に、エコ・フットによる評価を実施しました。CO2だけでは捉えにくい、原材料調達と自然資本との関係を示した企業による先駆的な分析事例であり、結果は第7回日本LCA学会で発表されました。関連資料を見る→
エコロジカル・フットプリントの共同開発者であるWilliam E. Rees博士とMathis Wackernagel博士が、旭硝子財団のブループラネット賞を受賞しました。詳しく見る→
WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワークは、日本のエコロジカル・フットプリントのデータを更新したレポートを発表しました。食に関するフットプリント、消費項目別の分析、福島第一原子力発電所事故がバイオキャパシティに与えた影響など、2009年版からさらに具体的なテーマに踏み込んでいます。詳しく見る→
WWFジャパンとグローバル・フットプリント・ネットワークは、日本のエコロジカル・フットプリントの現状を包括的にまとめた報告書『エコロジカル・フットプリント・レポート日本 2009』を発表しました。日本の暮らしと国内外の自然資本との関係を、データに基づいて示した初期の重要レポートです。詳しく見る→
第三次環境基本計画において、持続可能性を捉えるための参考指標の一つとして、エコフットが採用されました。関連資料を見る→
マティス・ワケナゲル、 ウィリアム・リース著、和田喜彦監訳・解題、池田真里訳、原 題 Our Ecological Footprint: Reducing Human Impact on the Earth, 合同出版。詳しく見る→
環境省の「平成8年版環境白書」において、持続可能性を考えるための新たな指標として、エコフットが国内で初めて紹介されました。関連資料を見る→